この頃は腸内細菌に興味を持ち、
勉強のために色んな本を取り寄せてみた。
1日で読み切った本がある。
一昨年に亡くなった、光岡知足さんの
「共生の法則」
知足、とはとても心地よい驚きを与えてくれるなんて良質なセンスの素敵な名前なんだろう。
この人は善玉菌、悪玉菌、の名付け親にして
世界の腸内細菌の研究の第一人者
…というのは後から知りましたが
本から伝わってくるのはとてもとても優しい気持ちだった。
医学の世界にもこんなにも心やさしく、おおきな懐を持った人がいたんだと、とても感動しました。
内容は、
腸内には大変な数の……100兆ほどの細菌が住んでおり、人間は細菌と共生している
細菌が破滅しても人間が破滅してもどちらも生きていかれない
善玉菌を喜ばせ、善玉菌の環境を整える事で免疫力が上がる
そもそも細菌に善も悪もない、人間の都合的にわかりやすく言っている
食物繊維は大事
肉は腸内で腐敗しうんちが臭くなるが食物繊維や発酵食品なら醗酵しうんちも臭くない
抗生物質は腸内細菌を死滅させる
善玉悪玉日和みで2:1:7なので
2割を変えれば身体は変わる
悪玉菌がいなければよいとか、善玉菌を増やせばよいのではなく、大事なのは比率。
善玉菌を活性化する菌、発酵食品を取るとよい。その生死は全く関係ない。
そんなような内容だったと思う。
でも、1番印象深かったのは、人生哲学だった。
光岡先生は共生の精神が強く、
悪玉菌を排除するのではなく比率を保つ事が大事だとおっしゃっている。
現実世界でも同じく
悪(自分にとって都合の悪いもの、嫌なもの)を全て排除するのではなく共生していく事が大事だと。
私はそこに深く共感しました。
この先生は直感やインスピレーションも大切にされていて(理詰めで合理に偏らない)
利他の精神を持ち、平和な心で争いを嫌い、出世富権力の為に動かず、人を思い、哲学する類稀な研究者であるように思う。
最近は戦争が悪い、ロシアが悪い、
マスコミの情報をそのままきいて、そのままいっている人が多い。
(私はそういう人は日和見菌だとおもっている)
だからといってそれを糾弾して排除すればいいというのは違うと思う。
自分も色々な場所で、異質な人、変わった人を排除しようとか差別・弾圧はかなり見てきたし、されることもあった。
玉石混合、多様な人たち
受け入れて排除せず、共生していこうという考え方に
現在社会とは違う新しき良きものを見たように思う。
本当はそれが本来の世界のあり方なんじゃないのか?
悪いものは残らず排除、は危険極まりない思想ではないのか?
そもそもその思想が戦争の原因ではないのか?
共生の法則は人生哲学としてとても濃い本でした。
もっともっと、沢山の人に読まれてほしい。
これから何度も読んで、ずっとそばに置いておきたいような とてもあたたかい本でした。